自由とは―その1

日本でも自由と言う言葉がよく使われるようになりました。皆様のイメージで自由と直ぐ結びつく国はどこですか?先ず間違いなく自由の女神と言う像を持つ自由の代名詞ともなるアメリカ合衆国でしょう。

 

さて、今回自由と言うテーマを取り上げた理由があります。多くの人が自由に暮らす日本です。でも、皆様が自由と言う言葉の意味をどう解釈しているのかで、自由が与える日本社会への影響が劇的に変化するからです。犯罪、経済、労働、人間関係等全てに於いて自由と言う魔力の様な魅惑ある言葉が私達を支配します。ですから、私達はしっかりとした自分と言う個々を失わないように自由について理解を深める必要があります。

 

それでは、古代文明に於いて、自由とは誰のものだったか?明白ですが、権力者のものでした。呼ばれ方は様々ですが王、大神官、領主、シャーマン等、その地を統治する力を持つ者のみが持つ事を許された言わば特権みたいなものです。

 

では、何故彼らは自由を手に入れる事が出来たのでしょうか?

 

これは一種の動物の持つ本能でしょう。動物社会では善し悪しを決めるのは全て力次第、弱肉強食です。私達は動物から人間ホモ・サピエンスに進化する過程で本来動物の持つ多くの本能を取捨選択し、必要ないと判断したものを一つずつ捨ててきました。しかし、やはり私達の祖先も同じ動物。進化を遂げた今、残った本能の一つに、闘争心があります。そして、それから生まれる主従の関係、即ち力に従うと言う事。ヨーロッパの封建制度時代や日本に於ける戦前迄の華族制度廃止位迄の時代ですね。

 

皆様力による支配が歴史上に於いても自由を手に入れる一つの手段である事は前述でも理解出来たと思いますが、では動物或は人は闘争後、自然に主従の関係を気づく事が出来るのでしょうか?

 

この答えもやはり私達が動物社会で自然に学んだものを継承して来たからでしょう。例としてライオン達を2つのグループAとBに分けて考えます。Aの長とBの長が対決し、Aが勝利し、Bは服従する結果となりました。これによって、Bのライオン達は強いリーダーから外敵から守ってもらう事が出来るようになりました。次に望む事は豊かさ。AはBを取り込んだ事によりBの持つテリトリーとライオン達を手に入れ、両グループ互いにより豊かになる。一見、Bは戦いに負けて損をしたように感じるかもしれませんが、実際はその逆で合理的に自分たちを豊かにする手段として戦うと言う行為をしているにすぎません。現代で例えるならM&A(Merger and Aquisition) の原型ですね。A社は弱ったB社を攻撃し、戦闘不能になった所でB社を買収します。A社はB社のノウハウや人材、販路を獲得し、B社はA社の方針に従う事で社を存続させる。これが自然に主従の関係を動物や人間が受け入れて来た理由です。

 

次回、それならば、何故下克上の様な主を配下の者達が裏切り、その座を奪おうとするのかと言う事をお話しします。