年商と年収の違い

よくメディアでも「年商○○億の20代社長」と言う様な話題が取り上げられます。日本でこのような話題が取り上げられると大抵の方々はすごいなとかどんな人だろうとか関心を抱きます。

 

 そこで質問です。本当に凄いのでしょうか?

 

 確かに、億単位のお金が動く訳ですから簡単ではありませんし、その努力は評価するに値します。だから、日本の金融機関は年商を重要視します。ただし、年商とはその会社全体での年間売上のことです。一般的には、どれ程の経費等が支出されているのかが分からない。従って、年商が億単位であっても凄い訳ではないのです。

 

 では、質問を変えます。年収が○○億円。これは凄いのでしょうか?

 

 今回は分かりやすく説明する為に所得税等の税金等の細かいものを省いてお話しします。年収が億単位と言うのは凄いですね。例えば計算しやすいように年収1億2千万円だとします。月収1000万円、日額約50万円(20日換算)です。この金額を一日に稼ぎだす人は中々いません。だから凄いです。

 

 海外に於いて、年商と言うものは日本に比べてあまり評価されず、重要視されるのは年収です。あなたが年商5000万円の会社で働いていて年収2500万円なのか、或は年商10億円で年収が1000万円なのかと言う場合、海外の場合前者が評価され、日本の場合後者が評価される傾向にあります。

 

 勿論、見方の違いです。海外の場合、あなたの会社の売上がどうであれ、あなたは年間に稼ぎだす能力が2500万円。所謂あなた個人を評価基準にします。ですから、銀行から融資を受ける際、その銀行はあなたがいるから融資をします。逆に年商は変わらなくともあなたがその会社を辞めて、誰もあなた程の能力がなければ、融資をやめます。

 日本の場合、あなたの稼ぐ能力は1000万円だけれど、会社の売上は10億円。会社の能力を判断基準にします。年間売上10億円で年間の損失が発生し損失額1億円だとします。でも、日本では融資をやめません。金融機関はあなたの会社のブランド力は最大の武器で経営方針等改善すれば問題ないと判断するからです。従って、あなたの能力はほとんど評価基準ではなく、融資を受けれるか受けれないかは会社の売り上げ等が最重要になります。

 

 海外では最高財務責任者Chief Financial Officerと言う役職が存在し、彼の仕事は人脈があり彼の能力を評価する人が多いと言う事が前提となります。即ち、資金調達を行うのは彼の仕事で、彼がいなくては資金が調達出来ない。

 

 年商と年収という違いの話から、なぜ海外で働く人々の意欲と日本人の労働に対する意欲がこれ程異なるのか合点がいきませんか?海外では、自分の能力を磨けば磨く程周りに対する評価が出てそれによって、あなたに対しての信用度が上がります。従って、事業等を運営する際の最大の武器になる為、皆必死になります。

 

 一方、日本では学歴や経歴を評価するものの年功序列というものがまだまだ強く若者世代の能力を磨く環境づくりが整っていないのが現状。これにより、仕事は皆していても、平均的なものになってしまい、甲乙がつけられないと言うのが多く、逸材が中々誕生していません。

 

 会社等を経営していく際、これからの時代を切り開くには年商を重要視するよりも年収を重要視する事が大事なのではないでしょうか?